改めて気づくベジータの格好よさ

物語における主人公とは一体どんな存在なんだろうか?
毎週欠かさずみている番組の一つ「ドラゴンボール超」を見ているときにふと思った。
 
ドラゴンボール超の舞台は魔人ブゥ編が終わって、ウーブが登場するエピローグの間の話。鳥山明が原作に参加しているため、ドラゴンボールファンにはたまらないだろう。
映画の内容をテレビ用に再構成した「神と神編」「復活の「F」編」としてテレビオリジナルとなる「破壊神シャンパ編」などから構成されている。
 
「破壊神シャンパ編」では、悟空たちがいる第7宇宙の破壊神であるビルスの兄弟、第6宇宙の破壊神シャンパ率いるチームと、第7宇宙の地球を賭けて武道大会で対戦するというものだ。(ビルスとシャンパはどちらの宇宙によりおいしいものがあるかを競っており、地球にはおいしいものがたくさんあるため。本来は対の存在である2つの宇宙だが、第7宇宙の地球はすでに人間のせいで滅んでおり、地球は第6宇宙にしか存在しないため。また、悟空たち第6宇宙チームが勝利すると、シャンパが集めたスーパードラゴンボールを手に入れることができる。)
 
そのシャンパ編での、ベジータと第7宇宙のサイヤ人「キャベ」との戦闘がとても印象深かった。
スーパーサイヤ人なる方法を教えてほしいと、ベジータに頭を下げるキャベ。この行動に怒ったベジータはキャベを傷めつけ、降参することすら許さない。そして、キャベの故郷である惑星イサヤを破壊し、彼の家族も殺すと宣言。
第6宇宙のサイヤ人と違い、第7宇宙のサイヤ人は他の星を侵略せず、傭兵として悪いやつらと闘っていた。そんな正義の心を持つサイヤ人のキャベも怒りに震え、ついにスーパーサイヤ人へと覚醒する。
もうお分かりだと思うが、ベジータの行動と言動は全てキャベを怒らせ、スーパーサイヤ人とするためのものだったのだ。そして、青髪のスーパーサイヤ人ゴッドSSとなったベジータ、キャベも修行すればここまでのレベルに達する可能性もあるということ示し、「この俺を超えて見せろ。超えさせはさせんがな。」と言い放つ。
そして、戦う相手に頭を下げるということは、そこで戦いを放棄するということであり、二度とするな、サイヤ人の誇りを忘れるなというベジータ。
 
これ、もうベジータが主人公じゃないの?って思うぐらい格好よかった。
 
良く考えてみたら、ベジータは家族を大切にし、自分のルーツの誇りを忘れず、強くなるために日々努力をし、正しい心を持った(※1)戦士。もしかすると悟空よりも主人公としてふさわしい条件を満たしているのかもしれない。
ベジータが悪いやつだった時代をリアルタイムで読んでいいたので、当時はいくら活躍しても結局悟空に勝てない人という認識がなかったが、読み返してみるとその格好よさに気づく。
当時、ドラゴンボールで一番好きなキャラクターは?と聞かれると迷いなく「悟空!」と答えていたけれど、今なら「ベジータ!」って答える。髪型は変だけど。
 
※1 映画版「神と神」でスーパーサイヤ人GODになるためには正しい心を持った5人必要であることが説明されている