UNITED ARROWのローファーをゲット、いい靴とは何か?

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UNITED ARROWのローファーをゲットした。
定価が28,000円だったのを知人がセールで購入したものだが、彼の足には小さすぎたため、三千円という格安の価格で譲ってもらったものだ。サイズは24.0cm、made in Japanの記載があるので日本製だと思う。
セレクトショップが自社ブレンドの名前で出している、「セレオリ」と呼ばれる商品の一つ。正直なところ、僕はこの「セレオリ」と呼ばれるアイテムにいい印象を持っていなかった。それは僕自身の経験からきたものではなく、ネットからの情報によるものだ。
実際に手にとってみて、そんなネットの情報を鵜呑みにしていた昔の自分が恥ずかしくなった。

UNITED ARROWSのローファーについて

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まずは今回手に入れたローファーについて説明していく。
形状は通常のペニーローファーで、色はダークブラウン。アッパーの革質は柔らかく、厚みはあまりない。ソールはレザーではなく、Vibram社製のゴムソール。サイズはJP24.0のUS6.0。ちなみに同封されていた請求書にはEU39.5の記載があった。US6だとEU38じゃないのか?という違和感はあるが気にしないことにした。

サイズ感

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友人から格安で譲ってもらったこのローファー。
もちろん僕は友人とは違い、履かせてもらった上で購入している。履いてみてまず、「少しきついかも」と感じた。それはローファーとしては最適なきつさ。
ローファーはヒモで調整できない分、サイズはややきつめを選びたい。履いていくうちに馴染んでいき、丁度いい大きさになるからだ。ただし攻めすぎには注意したい。その後馴染ませるのが大変になるので。
このローファーはマッケイ製法のため、ソールの沈み込みはあまり期待できないが、アッパーの革が柔らかいので伸びてくると予想している。 きつさも一部分が特にきついというわけではなく、全体的に少しきついかも、と感じる程度。半年から一年後丁度いいサイズになっていることが想像できるが、何より嬉しいのがローファーによく見かける、「かかとが浮く」問題が発生しなかったこと。
ローファーの場合、紐で調整することができないのでどうしてもスリッポンのようにかかとが浮く問題が発生する。よくあるのが、甲のサイズが良くてもかかとのサイズが合わずに浮く、かかとは浮かないが甲の締め付けがきつ過ぎる、といったものだ。

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フィットするローファーを見つけるのは木型と足の相性に加えて、製法やアッパー、ソールの素材なども影響してくるので本当に大変なこと。以前タッセルローファーを探していた時も出会うことができなかったのだが、今回思わぬカタチで出会うことができた。

セレオリ

購入したのはUNITED ARROWのセレオリ商品だが、セレオリの製品については、価格の割りに品質が低い、コスパを考えるとユニクロの方がいい、という話をよく聞く。なので知らず知らず敬遠していた部分があったのだが、今回のローファーとの出会いでその思いはかなり弱くなった、ほぼ無くなったと言っていいかもしれない。
もちろん、ものによっては情報通りの可能性もあるだろう。でも、それを見極め、断言することができる目が僕にない以上、言えることはない。
ただ今回のことをして、セレオリの商品に対して抱いた不満もある。それは、リピートしたい時に同じものを購入するのが難しい、ということ。
例えば革靴ブランドの製品の場合、購入したものがダメになって同じものを買いたいと思ったら簡単に購入することができる。モデル名もラスト(木型)もはっきりしているからだ。
しかしセレオリの場合だとそうはいかない。使用されたラストも、どこで作られたのかも分からない。僕に与えられた情報は、マッケイ製法でサイズが24.0cm、made in Japanであることのみ。UNITED ARROWSから出ているが、OEMの商品なのでUNITED ARROWから今後出るローファーと同じものである保証はなく、欲しくても手に入れることができない。
どれだけ気に入っていたとしても、全く同じものを手に入れることは難しいのだ。

いい靴の定義とは?

僕は今までいい靴とは、「良い革を使って、由緒正しい製法によって作られたもの」、 「有名で評価が高いブランドの靴=いい靴」というイメージを持っていた。
UNITED ARROWのローファーも悪くはないが、同価格帯であればもっと有名で評価の高いブランドの革靴を探すことができる。だとすれば、上記のイメージのいい靴には当てはまらない。
でもこれはいい靴である。僕にとっては。
結局のところ、靴は道具であり、使って何ぼ、履いて初めてその真価を発揮する。
良い革を使っていても、素晴らしい製法で作られていても、足に合わなくて履かなければその靴としての価値は半減する。
であれば、僕の足にほぼ完璧にフィットしているこのローファーはまさにいい靴だろう。それは、僕にとっていい靴の定義を覆させるのに十分な経験だった。
身も蓋もない言い方をすれば、良い靴の定義なんて結局人それぞれだ。
外回りが多い人にとっては革質や製法よりも、スニーカーのように歩きやすい靴のほうがいい靴かもしれない。バイクに乗る人は頑丈で乱雑に扱っても構わない靴こそいい靴かもしれない。
そして靴は道具、道具は使ってこそだと思っている僕にとっては、履きたくなる靴がいい靴。
このローファーではサイズ感が履きたくなる要素だったが、サイズ感が微妙でも上質なアッパーが使われた美しさも履きたくなる要素の一つ、積み重ねられたブランドイメージもそう。重要なのは履いていて楽しい気持ちになれるかどうか。

自分の軸となる価値観を養う必要がある

今回の件で今まで自分が、どれだけ回りの情報に振り回されていたか気づいた。
自分の価値観の軸を周囲の評判においていたように思う。周囲に良く見られたいがために、自分で考えることを放棄して周囲の評判がいいものを妄信する。 他人の評価も参考にすべき意見なのは確かだが、やはり自分の価値観を持っておくことは大切だと感じた。
今年は自分が本当に欲しいと思ったものだけを買うと決めているので、同時に自分の中の価値観を高めていきたい。