近所の映画館のタイムスケジュールで自分がマイノリティであることに気づく

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趣味は?と聞かれると大体「映画を見ること」と答える。
こう答える人の中で、本当に映画を見ることを趣味にしている人の割合はそんなに多くないと思う。大体が、無趣味だけどとりあえず無難にこう答えておこう、という感じじゃないだろうか。
僕の場合は後者に近い。確かに映画を見るのは好きだけれど、毎日見ようとは思わない。Amazonビデオで適当に選んだ映画をBGM代わりに流すことは多いが、きちんと集中して見るのは週に1本ぐらい。
世間一般では面白くないと言われている映画でも面白いと感じてしまうし、脚本や演出について語るだけの知識なんて全くない。なので、映画の感想なんか聞かれても気の利いた答えを返すことができない。

ただ、映画館に行くのだけは好きだった。
チケットを受け取ってから上映案内が始まるまでのワクワク感。
席についてから始まる新作映画を見ているドキドキ感。
予告が終わり本編が始まる直前、会場が暗く静かになり、一体感のある緊張感。
そして、映画が終わった後の満足感。
これらを体験することができる映画館は、僕にとってテーマパークのようなものだった。
映画館へ歩いて行ける場所に住んでいた時、週1、2日は通っていたと思う。お金に余裕があったわけではないので、見るのは大体レイトショー。楽しい時間が終わってしまった後の帰り道は、少し寂しかったけれど満足感に満たされていた。

こう考えると、僕の趣味は「映画を見ること」ではなく「映画館に行くこと」だったんだと思う。

しかし、ここ4、5年ほど、ほとんど映画館に行けていない。
子供が生まれて自分の周りの環境が変わったり、引っ越したので映画館まで距離ができたなどの事情が重なって行く機会がほとんどなかった。
思出せる範囲でも、最近見た映画は子供と一緒に行ったアニメや特撮ヒーローものだけ。気になった映画があっても子供連れで見れるものは少ないので、そういう映画はDVDをレンタルして見ている。ただ、やっぱり家で見るよりは映画館で見たい。

そんな時、思いがけず一人で自由に使える時間ができたので久々に映画館で映画を見ることにした。
自宅から一駅離れた所、自転車で行くと20分ぐらいの場所に一番近い映画館がある。ショッピングモールの中にある映画館で、いわゆる「シネコン」と呼ばれるもの。
夕方までは仕事があったので、レイトショーを見ることにする。目当ての映画は「スパイダーマン ホームカミング」だ。
久々の映画館にワクワクしながら、スケジュールの確認と予約のために映画館のWEBサイト開く。

しかし、いくら探してもレイトショーのラインナップにスパイダーマン ホームカミングの文字がない。
いや、正確に言えばあったことにはあった。しかしそれは”吹替え版”なのだ。
僕は洋画を見る時は絶対に”字幕版”を見たいタイプだ。俳優さんの生の声での演技を見たいし、英語の勉強にもなる。
字幕と吹替え、どちらが良いかという議論は置いておいて、僕は世間一般では字幕版の方がマジョリティだと思っていた。吹替え版の上映はなくても、字幕版の上映はある、それが普通だと思っていた。

けれどそこにあったのは字幕版よりも吹替え版の上映回数の方が多いという現実。字幕版の上映は一日に2本しかない。
スパイダーマンを見れないのは残念だが仕方がない。他にレイトショーで面白そうな映画はないかと探してみるとあることに気づく。

上映スケジュールにある洋画の多くが”吹替え版”しかない。中にはスパイダーマンのように字幕版も上映されているものもあるが、それでも吹替え版の比率の方が圧倒的に多い。
そして、同じくらい上映回数が多いのがアニメ映画。

そこでやっと気づいた。
このシネコンがあるショッピングモールは、どちらかというと”ファミリー向け”のショッピングモール。なので、客層は子供連れが多い。
そのため子供と一緒に楽しめる映画の比率が必然的に高くなってしまっている。
念のため近場にある他の映画館の上映スケジュールを調べてみると、字幕版の方が吹替え版より上映回数が多い映画館の方が多い。
これらの映画館の中では僕のような字幕派はマジョリティなのかもしれない。けれど、一番近くにあるシネコンの中ではマイノリティに変わるという事実。

結局、マジョリティかマイノリティかなんて環境次第ですぐに変化する。文句を言うだけでは何も変わらない。だったらその時点で自分がどちらに属しているかという事実を受け入れるしかない。

・・・なので、ジョジョの実写版を見てきた。
思っていたよりは良かったヨ。