最近読んだ小説と簡単な感想(2018年2月)

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最近わりとたくさん本を読むことができ、充実した日々を送ることができた。
個人的なメモも兼ねて、読んだ本やちょっとした感想を書き留めていく。(一部軽いネタバレあり)

最近読んだ本と感想

悪童日記

アゴタ・クリストフによる作品。彼女のデビュー作でもある。
戦時下に生きる双子の少年の話が、彼らの視点から、彼らが日記に書きつけた形式で綴られている。
双子なのに、語り部としては一人しかいないような語り口に奇妙な感覚を覚える。まるで本当に一心同体のような印象。だからこそ、ラストの展開には驚いた。

ふたりの証拠

悪童日記の続編。
悪童日記に続きがあると知らなかったので、知ってから速攻でamazonで注文した。今はマーケットプレイスで、中古本を手軽に手に入れることができて便利。
悪童日記とは違い、双子の片割れの生活が第三者の視点から書かれている。悪童日記では曖昧だった登場人物の輪郭が、ふたりの証拠ではっきりとしてきた。悪童日記で描かれた絵が、ふたりの証拠によって色付けされたイメージ。だからこそ、最初に読んだとき、ラストに書かれていることの意味が分からなかった。
その部分を理解しようと何度も読み返すほど、更なる混乱を引き起こす。

第三の嘘

ふたりの証拠の続編で、悪童日記から続く三部作の完結編。
この作品を読むことで、ふたりの証拠のラストシーンが腑に落ちた。悪童日記を読んだときは、まさかこんな結末になるとは予想できなかった。いい意味で驚きをくれた作品。
悪童日記は単体で楽しむこともできるけれど、ぜひ三部作全部読んでほしい。

サルガッソーの広い海(広い藻の海)

ドミニカ出身の作家、ジーン・リースの作品。
ジェイン・エアへと続く物語で、ジェイン・エアでの、ロチェスターの精神の障害を持った元妻に焦点をあてて書かれている。とい
っても、ジェイン・エアの作者はシャーロット・ブロンテであり、ジーン・リースではない。
主人公(ロチェスターの元妻)が精神障害を抱えることになったのは、味方のいない環境や、周囲の人たちによる影響が大きい。中でも大きな役割を担ったのはロチェスターだろう。彼の偏執的な独占欲がなければ、彼女はまだ幸せになれたのかもしれない。
僕はこの作品の後にジェイン・エアも読むつもりだが、単品でも十分に楽しめる作品。

ダッハウの仕立て師

歴史学者でもあるメアリー・チェンバレンの作品。
主人公はイギリスで仕立て師と働くエイダ。戦争と社会に翻弄された彼女の物語が綴られている。詳しい感想は別記事に書いているので、そちらを参考にしてほしい。
面白い本だけれど、読後は何とも言えない気持ちになる。

化学探偵Mr.キュリーシリーズ

大学の准教授と大学職員のコンビによるミステリー小説。物語の舞台のモチーフとなった場所が、僕も知っているところだったので途中ニヤニヤしてしまった。
某有名ラノベの舞台にもなった場所なので、関西圏に住んでいる人はピンとくるかもしれない。
タイトルからも分かる通り、化学に関する話しが多いが、難しい内容はなく、文章も読みやすいのでサクサク読むことができる。

読む予定の本

NEVER LET ME GO

邦題「わたしを離さないで」
2017年にノーベル文学賞を受賞したことでも有名な、イギリス人作家カズオ・イシグロの作品。
辞書をあまり引かなくても読めそうだったので、原書で読むことにした。

Jane Eyre

上にも書いた、「サルガッソーの広い海」から続く話。
もともと、サルガッソーの広い海はこの本を読むために読んだようなもの。これも原書で読む予定だけれど、分厚いので心が折れるかもしれない。

書楼弔堂 炎昼

京極夏彦による書楼弔堂シリーズ。前作『破暁』が面白かったので、今から読むのが楽しみ。