大人も見るべき映画『クレヨンしんちゃん新婚旅行ハリケーン』

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長かったゴールデンウィークも終わった。 せっかくなので子どもを連れて色々なところに出かけようと思ったが、前半出かけた先がどこも人、人、人。混雑のせいで全く楽しいこともなく、ただ疲れただけで終わったため、ゴールデンウィーク半ばからはまったりと過ごすことにした。出かけるとしても近場の公園とかぐらい。 ただ、大人はそんなまったりとした時間を楽しむことができても、子どもはそういうわけには行かない。ぐずる子どもに根負けして連れて行った映画館で見たのが、クレヨンしんちゃんの最新作『新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~』。(ややネタバレあり)

久々に見るクレヨンしんちゃんの映画。映画館で見るのは小学生の時以来かもしれない。しんちゃんの映画には『オトナ帝国の逆襲』や、『戦国大合戦』の評価が高いが、僕が見た中で一番好きなのは、『雲黒斎の野望』だったりする。 今でもテレビシリーズのしんちゃんはたまに見ている。ただ、映画シリーズはどうしても、『オトナ帝国の逆襲』や『戦国大合戦』といった過去の作品と比べてしまうために純粋に楽しめなくなり、自然と見なくなっていった。そんなわけなので今回もあくまで子ども付き添いとして行ったつもりだったし、あまり期待していなかったのだが、いい意味で期待を裏切られた。

新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~

しんちゃんの映画はカスカベ防衛隊が活躍するものと、野原一家が活躍するものの2パターンが多いと思うが、今回の映画は後者の方、特にひろしとみさえにフォーカスを当てたストーリー。

あらすじ

オーストラリアの秘境で行っていなかった新婚旅行を満喫して野原一家。しかし、ひろしとみさえはお互いの意見が合わずにギクシャクしてしまう。新婚旅行中なのにも関わらず喧嘩する二人。そんな中、ひろしが地元の仮面族に攫われてしまう。 ひろしがさらわれた理由、それは島に語り継がれている伝説の中の財宝のため。財宝を得るためのカギがまさかのひろしの足の臭いだった。 ひろし奪還に向かうしんのすけたち、しかも野原一家だけではなく、世界中のトレジャーハンターもひろしたちを追いかけていた。 しんのすけたちは無事にひろしを奪還し、一緒に春日部に帰ることができるのか?

感想

月並みな感想になってしまうが、ただただ面白かった。 タイトルに『新婚旅行』とあるとおり、今作では家族愛、夫婦愛がテーマの一つとしてあると思う。物語前半はどちらかといえばひろし目線での話が多く、ひろしがさらわれてからはみさえたちを中心とした展開へと移る。最後に両者の思いが交差してお互いの愛を確かめ合う。まさに”LOVE”。言ってて正直恥ずかしい。 こういったテーマは子どもには伝わりにくいが、そこは相変わらずのしんちゃんテイストによって、子どもでも楽しめるストーリーに仕上げられている。例えば夫婦の絆が強調されるシーン。子どもは興味を持ちにくいだろうなといった場面でも、前後に用意されているギャグ部分や状況の奇天烈さによって面白く見れるように工夫が凝らされている。そら、巨大コアラの前で夫婦の絆を確かめ合う場面なんて、子どもにとってはギャグ以外のなんでもないわな。冷静に考えると大人にとってもそうか。 全体的にギャグパートとシリアスパートのメリハリがちゃんとしていながら、シリアスパートでもメッセージ性が強くなりすぎないように調整されているように感じた。 後、驚いたのは贅沢な声優の使い方。 世界中のトレジャーハンターにも狙われることになったひろしだが、そのトレジャーハンターに起用されている声優陣が豪華。なのに出番が少ない。途中に少し出てきた後、最後のいいところでちょっと活躍しただけ。実は彼らは物語の鍵をにぎる重要人物なのでは?と疑ったりもしたが、全然そんなことはなかった。エンドロールで確認するまで、声が似ている方だったのかな?と思うぐらい。さすがはクレヨンしんちゃん。 あいみょんによる主題歌も、物語の内容にすごくマッチしていて良かった。映画を見て以来、家の中ではあいみょんの曲が毎晩ほぼほぼエンドレスで流れている。ちなみに合間合間に『ハルノヒ ~息子Cover version~』が流れる。

この作品について唯一不満があるとすれば、それはパンフレットの内容。 おまけ的な要素としてすごろくと巨大コアラのペーパークラフトがついているのだが、不満に感じたのはこのすごろくの方。すごろくのコマがパンフレットの内容に直接記載されているため、遊ぶためにコマを切り取ってしまうと、裏面に書かれている内容まで切れてしまい読めなくなる。何も知らない息子が途中まで切り取ってしまったのを慌てて止めたのだが、せめて別紙にするか、コピーして遊ぶような文言を入れておいてほしかった。

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過去のしんちゃん映画を見直す

今はAmazon Prime Videoで過去のしんちゃん映画を見直している。もちろん内容によって合う、合わないがあるが、面白いと感じたのは昔見た映画を改めて見ると以前とは違う見方、感じ方をすること。 しんのすけ視点だったものが、年をとるに連れてひろし視点へと移っていったのだろうか、昔は何も思わなかったひろしたちの言葉に共感できるようになっていた。

思えば、クレヨンしんちゃんは親が子どもに見せたくないアニメとして名前が挙がることが多い。作品の中では汚い言葉遣いであったり、下品なギャグなどが使用されており、それを子どもが真似をするのが嫌らしい。ただ、個人的な考えを言うと、真似しないために見せないのではなく、真似しても良いことと悪いことを教えるのが親の仕事だと思う。 善悪の判断が拙い子どもが見たものを真似するのは仕方のないことだし、子どもが様々なことを見聞きしていく中で、親がそれら全てを選別するのは無理だし、あまり子どものためになるとも思わない。 かつては真似する側だったが、注意する側へと立場が変わった今、そのことに気をつけながら今後も親子一緒にクレしんを楽しんでいきたいと思う。